【貸借対照表と損益計算書】~#5 純資産について~

 

どうもいけちゃんです。

 

前回、貸借対照表の負債の部分、中でも「減価償却」について詳しく解説しました。

 

そこで今回は貸借対照表の貸方を構成するもう一つの重要項目である「純資産」についてお話しします。

 

株式取引をされている方なら誰でも知っている、ROEやPBRと言った指標がありますよね。日本語だと自己資本利益率、株価純資産倍率ですが…

これらの指標に使われている自己資本って、具体的に何を指すのでしょうか?

 

純資産の内容について理解することで、企業の決算内容だけでなく、上記のような今まで何気なく使っていた株価指標の見方も変わってくるはずです!

 

今回のポイント

・純資産を構成する4つの要素を理解する

・自己資本の定義を抑える

 

純資産とは

 

まず、改めて貸借対照表の概要について確認しましょう。

 

今まで、資産および負債に関しては過去の記事で解説してきました。

【貸借対照表と損益計算書】~#1 貸借対照表(BS)とは~
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しかし、これを読んで頂いている皆さんが実際に株主であったならば一番気にするべきは「純資産」の部になります。

 

なぜなら、株主が投資した資金や企業が本業で稼いだお金は全てこの純資産の中に組み込まれているからです。

 

ご覧の通り、純資産の中は大きく分けて4つのブロックに分かれています。

また、一番大きなブロックである株主資本は中身が更に細分化されています。

 

純資産の部にのみフォーマスしたのが以下の図です。

 

ではそれぞれの4つのブロックについて見ていきましょう!

 

 

株主資本について

 

株主資本とはその名の通り、株主に帰属する資産のことです。

 

 

株主である皆さんが出資した資金は主に、資本金という部分にプールされていきます。

 

ただ、企業にとって資本金というのは使い勝手がいいとは言えません…

なぜなら、資本金を使う=減資となり一々株主総会で決議を取る必要があるからです。

そのため出資金の半分は資本準備金に算入して良いことになっています。

 

この株主資本のブロックは下に行けば行くほどいつでも自由に使える資金になっています。

 

他方、企業が本業で稼いだ利益は利益余剰金の中の、その他利益剰余金…の中の繰越利益剰余金の部分にプールされていきます。

 

そして稼いだ利益から株主に対して配当金が支払われる訳ですが、ここでポイントが2つあります。

 

✔1点目は、配当の原資となる資金と株主が出資した資金は別々にプールされているということです。

これは当然と言えば当然ですよね。

別々で管理しなければ、株主にとっては自分が出資したお金が単純に手元に戻って来るだけで投資する意味が無くなります。

 

✔2点目は、準備金です。

基本的にその他資本余剰金というのはほとんど発生せず、配当は基本的には利益余剰金から支払われるわけですが…

業績等に万が一のことがあった時にも配当が継続出来るように、必ず準備金に資金をプールしています。

 

このように株主資本は株主からの出資金や本業での利益、更には安定配当を継続するための準備金といった項目で構成されています。

 

その他の包括利益累計額

 

純資産の中でもこの部分はなかなか聞きなれない項目だと思います。

 

一言で言ってしまえば、保有資産の含み益(未実現利益)を計上した部分になります。

 

一番オーソドックスな例は有価証券です。

 

今では少しずつ解消されていますが、従来日本企業の多くには株式持ち合いの文化があり、同業他社や親会社の株式を大量に保有しています。

こうした株式持ち合いの文化は第二次大戦後から始まっているため、現在の価値に直すと相当な含み益を抱えていることがほとんどです。

 

有価証券以外にも土地なんかも同じことが言えます。

 

通常、貸借対照表のルールでは含み益があっても売っていない資産は、買った時の値段のまま記載するという、取得原価主義が適用されます。

 

ただ、有価証券のように明確な価格が存在し、換金性の高い資産は時価評価を行うということになっています。

 

以下がそのイメージ図です。

 

しかし、ここで問題が発生します。

 

有価証券を時価評価し、含み益(未実現利益)を純資産に計上するまでは良かったのですが…

これを本業の利益等と一緒にしてしまうと、配当としてキャッシュアウトしてしまいます。

 

何度も言うようですが、含み益があったとしても有価証券はまだ売っていません。

つまり、配当金というリアルマネーを拠出する際にまだ売って現金化されていない資産を元手にするのは不自然ですよね…

 

そこで、こうした時価評価評価した資産の含み益を計上するのがその他の包括利益累計額の部分になるわけです。

 

新株予約権

 

続いて、新株予約権についてですが、これは、

行使することで、当該企業の株券の交付を受けることができる権利

のことです。

 

例えば…

新株予約権を1株1,000円で、100株分発行し現金で払い込まれました。この新株予約権を株式に転換する際は1株につき500円です。権利行使期限は○○月△△日です。

 

こういった内容のものになります。

現金が払い込まれた時点で新規資金がキャッシュインしているため、このケースならまず10万円分が利益剰余金に計上されます。

 

そして、権利が行使された場合は追加の50,000万円分と合わせて15万円を資本金(一部は資本準備金)に計上するといった流れになります。

 

ただ、現在この新株予約権は従業員向けのストックオプションとして利用されているケースがほとんどになります。

 

従業員に報酬としてストックオプションを付与することで、従業員は当然自社の株価が上がるように努力をするため、インセンティブの向上に繋がりやすい等のメリットがあります。

他にもメリット・デメリットがありますがここでストックオプションの詳細については割愛します。

 

非支配株主持分

 

最後に非支配株主持分については、以前アップした連結財務諸表の部分で詳細を説明しております。詳しくは以下の記事を参照下さい。

【貸借対照表と損益計算書】~#3 連結財務諸表とは~
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簡単に言ってしまえば、他社を子会社化した際に支配しきれなかった株式のことです。

具体例として、買収した企業の創業者一族が持っている株式などが該当します。

 

 

自己資本とは

 

これまで純資産に関してお話しをしてきました。

ただ、今まで一度も「自己資本」というワードが出てきていないことにお気付きでしょうか。

 

私自身、証券会社で働いていた時に後輩から、

「財務諸表を見ても自己資本という項目がありません。どこに載っていますか?」

と質問を受けたことがあります。

 

結論、自己資本は財務諸表に記載されていません。自分で計算する必要があります!

 

自己資本=株主資本+その他の包括利益累計額

で求めることが出来ます。

 

皆さんが何気なく使っている自己資本利益率(ROE)の自己資本とは上記の内容で構成されているのです。

 

そのためROEを高めるには分子の純利益を高めるか、分母の自己資本を小さくするか、或いは両方の手段を講じる必要があります。

とは言え、純利益を高めるのは一朝一夕では出来ません。よくある王道の手段としては増配自社株買いが該当します。

 

増配することで利益剰余金が減少します。また自社株買いを行うとその金額分、株主資本のブロックの自己資本の部分にマイナスで計上されます(将来的に消却することを前提としているため)。

すると自己資本が減少するため相対的にROEが高くなるというわけです。

 

自己資本の内容を理解することで、こうした企業の様々な努力の背景も理解することが出来ます!

 

財務に関してさらに学びたい方へ

 

今回をもってして貸借対照表・損益計算書の基本はほぼ網羅したと思います。

 

ただ、もちろん財務はかなり奥深いジャンルです。のれんや、米国との基準の違いなど…

ご自身でも更に勉強したい方向けにおすすめの参考書をご紹介しますので、ぜひ手に取ってみて下さい!

 

 

・Amazon

新・現代会計入門 第4版 (日本経済新聞出版)

・楽天

新・現代会計入門

また、余談ですが企業戦略についてのフレームワークを学びたい方向けの書籍も併せて紹介しておきます!

 

 

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わかりやすいマーケティング戦略(新版) 有斐閣アルマ

・楽天

わかりやすいマーケティング戦略新版 (有斐閣アルマ) [ 沼上幹 ]

 

まとめ

 

では、ここまでお話ししてきた内容をまとめておきます。

 

純資産のポイント

・株主として注目すべきは株主資本の部である

・純資産の中の自己資本の内容を理解することで、企業の戦略が見えてくる

 

 

今回も最後までご覧いただきありがとうございました!

ではまた。

 

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