【エムスリーとは何者なのか?】~快進撃の原動力となる事業構造について~

 

どうもいけちゃんです。

 

先日、29日に発表された決算で4~6月期の決算がこのコロナ禍の中、前年同月比32%増という好決算を叩き出した銘柄がありました。

 

そう、エムスリーです。

“医療界のGAFA”とまで称される同社の株価は留まるところを知りません。

 

ここ直近で見ても、3月の底値から株価は倍以上、PERは100倍を超え、時価総額も上位に食い込んできています。

 

株価上昇の主たる要因は、好決算に加えてコロナによって医療分野でもデジタルトランスフォーメーション(DX)が進むとの期待感によるものです。

 

しかしながら、多くの方にとって同社は全くと言っていいほど馴染みがないと思います…。

なぜなら、同社の事業におけるメインプレイヤーは医師と製薬会社だからです。

 

今回はそんなエムスリーの事業について分析し、今後の成長性について考察していきたいと思います。

 

今回のポイント

株価上昇の原動力は参入障壁の高さと希少性にあり

解決すべき課題はあるが、株価に割高感はなし!

 

エムスリーの事業とは

 

2000年に設立され、半年で黒字化し、2004年にマザーズ上場…そして今や1部で時価総額上位にまで成長した同社の事業の要が「m3.com」です。

 

同社が運営するm3.comは医師や、医療機関、更には製薬会社や医療機器メーカーといった様々な医療従事者向けの医療情報サイトになります。

 

その大まかなビジネスモデルは、以下の図のようになっています。

 

製薬会社などサイト利用者は、自社製品のプロモーションのためのプラットフォームを提供してもらう代わりに、エムスリーに対して利用料金を支払います。

この製薬会社等からの利用料金が同社の主たる収益源になっています。

 

一方で、エムスリーは同社のサイトに掲載された様々な情報を閲覧した医師に対して、ポイントを付与するシステムになっています。

このポイントを使って医師は、論文の閲覧や商品に換えたりすることが出来ます。

 

これが、エムスリーの事業内容になっています。

 

コロナの影響で、従来までのMRによる対面営業からデジタル化へのシフトを推進する製薬会社からの需要が増加したことが、今回の株価上昇に一役買っていると考えられます。

 

m3.comの事業戦略

 

コロナによるデジタルトランスフォーメーション化が加速するのは頷けますが、上記で示した同社の事業が何故ここまで恩恵を受けるのでしょうか?

 

そこには重要なプレイヤーである製薬会社、医師、そしてm3.comのサービスという要因が関係しているのです。

 

結論から申し上げると、

製薬会社のボトルネックを解決したこと

医師の囲い込みに成功したこと

ネットワーク外部性の観点からサービス拡充に成功したこと

 

が考えられます。

以下では、それぞれについて分析をして行きます。

 

製薬会社の問題を解決

 

m3.comにおいて、情報を提供する側である製薬会社は非常に重要な存在です。

 

利用料というのもそうですが、何より製薬会社との契約社数が少ないと情報に偏りが出たり、あらゆる医療分野に携わる医師に情報を提供することが難しくなるからです。

 

その点において、同社はコロナ以前から多くの製薬会社との契約を獲得しています。

 

理由は、m3.comによって製薬会社のコスト上の問題を解決したからです。

製薬会社のコスト問題とは、営業職であるMRの営業費用の増大にありました。

 

(出典:エムスリー株式会社 2015年7月 会社説明資料より)

 

2000年からITバブルを経て、PCが急速に普及すると多くの医師がインターネットで医薬品の情報を得るようになりました。

医師の大半は多忙であるため、徐々に対面によるMRよりもネットからの情報収集がメインになっていったのです。

 

他方、MRはそんな医師からの契約を獲得すべく、たった数分の面談のために営業時間を割き、更には接待等を行うなど非常に非効率な営業に陥ることになりました。

 

私も、証券マンの時代、MRの方々に交じって先生の診察が終わるのを待っていましたが、彼らの面談時間は本当に1、2分程度でした…

 

この非効率性を解消したのがm3.comの要サービスである「MR君」でした。

 

製薬会社はMR君を通じて、短時間で多くの情報を、より多くの医師に提供することが可能になったのです。

 

ここで重要なことは、MR君が単なる情報提供のプラットフォームではないということです。

最大の特徴は、MR君を通じて製薬会社の本社MRと医師との相互コミュニケーションを可能にした点にあります。

 

おそらく単なる情報提供の場であれば、わざわざ利用料を払わなくても製薬会社が独自でメールなどで製品宣伝をすればいいという話になってしまうでしょう。

 

しかしながら、医師との対話という本来のMRの強みを失わずに、弱点であった情報量と折衝量を改善したところにMR君を利用するメリットが生まれたのです。

 

ちなみに、このMR君の利用料、年間いくらだと思いますか…?

 

なんと、一社あたり約5億円~10億円です!

 

製薬会社にとってそれだけの利用料を払ってでも、コストを上回る便益がMR君にはあるということになります。

 

医師の登録者数の獲得:囲い込み戦略

 

さて、次に重要なプレイヤーは医師です。

 

いくら多くの製薬会社と契約しても、情報を見てくれる肝心の医師がいなければサイトの利用価値は無くなってしまいます。

 

なんとm3.comに登録している医師は約29万人おり、これは国内の医師の90%以上が登録している計算になります。(*同サイトは医師でないと会員登録出来ません)

 

これだけの数の登録者数を獲得した理由として、m3.comが上記で述べた製薬会社の問題のみならず、インターネット上で効率よく情報収集したいという医師のニーズにも応えることが出来たからだと考えられます。

 

しかしながら、個人的にはそれ以上に、獲得した医師の囲い込みの成功こそが重要であったと考えています。

 

当然のことながら、m3.comのような医療情報サイトは他にもたくさん存在します。

有力な競合他社としてはメドピアが挙げられます。

 

いくら数を獲得しても、他社サイトに流出してしまっては意味がありません。

 

そこでカギになるのが、ポイント制です。

 

エムスリーの事業内容の部分でも説明しましたが、サイトで製薬会社等が提供する情報を閲覧したり、サービスを利用した医師はサイト内で利用可能なポイントが付与されます。

このポイントを利用して、本来有料である医学論文の閲覧や、商品との交換が可能になっているのです。

 

つまり、ポイント制の導入によって会員が他社サイトに乗り換える際のコスト、いわゆるスイッチングコストを高めていると考えられます。

 

無論、何でもかんでもポイント制を導入すれば他社への乗り換えを防げるわけではありません。

大手製薬会社と多数契約し、他社よりも圧倒的に多くの情報量を持つ同社だからこそ真価を発揮する戦略なのです。

 

サービスの拡充:ネットワーク外部性

 

これまでMR君を中心にお話ししてきましたが、m3.comにはその他にも製薬会社が治験者を探すための「治験君」や、医療に特化した人材紹介サービス、更には患者がネット上で医師に症状の相談が出来る「Ask Doctors」など様々なサービスを提供しています。

もちろんこれら以外にも医療に関する数多くのサービスを展開しています。

 

同サイトのサービスがこれほどまでに拡充した要因は、利用者(この場合は、製薬会社と医師)の増加があります。

 

このように利用者が増えるほど、サービスが拡充することをネットワーク外部性と言います。

 

例えば、現在スマートフォンには利用しきれないくらい多くの機能やアプリケーションが備わっていますよね。

しかしながら、スマートフォンが初めて世に出た当初は使う人もまだ少なく、今のような便利な機能やアプリケーションは開発されていなかったはずです。

 

その後、ガラケーが衰退しスマートフォンが主流になるにつれてサービスが一気に拡充していきました。

なぜなら、多くの企業がスマートフォンの普及から得られる便益が増加すると考えたからです。

 

このように、製薬会社や医師の利用者数が増加したことでサービスが拡充し、今や医療に関わるあらゆるセグメントをカバーするに至ったのです。

 

そして、サービスが拡充し、利用者が増える。するとまたサービスが更に拡充し、一層利用者が増えるという循環を構築することに成功したと考えられます。

 

エムスリーの事業戦略のまとめ

 

エムスリーの事業について、

・製薬会社の問題解決

・医師の獲得と囲い込み戦略

・ネットワーク外部性によるサービス拡充

 

について説明してきましたが、これらは全て他社に対する非常に高い参入障壁の役割を果たしています。

 

正直、医療情報サービスの分野についてはエムスリーの独壇場です。

先日書いた、SCPモデルで言うところの「独占業界」に限りなく近い状態と言えます。

【企業戦略】~#2 SCPモデルと5つの競争要因(Five Forces)~
どうもいけちゃんです。 前回は、「戦略」とはそもそも何か。という話から、その戦略を決める基礎となるSWOT分析についてお話ししました。 しかしながら、SWOT分析はあくまで戦略を決める上で考慮すべ...

 

確かに、先に挙げたメドピアのような競合は存在しますが、医師の登録者数が10万人超のメドピアでさえ、売上高はエムスリーの1割にも満たない水準なのです。

 

こうしたエムスリーの他社にない希少性こそが株価上昇の原動力であると言えます。

 

エムスリーの課題と今後について

 

まず、エムスリーの今後についてですが、

 

結論として、まだまだ株価の上昇余地はあると考えています。

 

冒頭で述べた製薬会社のデジタル化の加速もありますが、同社のサービス拡大を支えてきた積極的なM&Aや、現在既に売上全体の3割を占める海外事業の更なる推進が予想されるからです。

 

PERだけ見れば確かに非常に割高に見えますが、同社の潜在価値はそれ以上にあると思います。

 

ただ、一方で課題もあります。

それは、競合や新規参入ではなく、m3.comのシステム自体にあります。

 

同サイトは医師でないと登録できないことは先に述べた通りですが、私は証券営業をしていた時、医師のお客様から何度か同サイトを見せてもらったことがありました。

 

率直な感想として、m3.comは医療情報サイトというよりは、ポイントサイトの性格が強いということでした。

また、お客様が言うには、医師同士の情報交換の場で頻繁に誹謗中傷が見られるとのことで、結果サイト登録を解除したそうです。

 

現在は、利用者数の多さやサービスの利便性から競合他社や新規参入の脅威から無縁のエムスリーですが、サイト内の負の要素が同社の弱点になる可能性も否定できないと考えています。

 

エムスリーの株を買うならここだ!

 

少し長くなってしまいましたが、エムスリーの株に興味を持って頂けたのではないでしょうか?

ここで同銘柄を買ってみようかなと思った方、国内株ならライブスター証券か、DMM株がおススメです!

 

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以下に両社のリンクと、参考記事を載せておくので是非ご覧ください。

 

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最後に

 

では、最後にここまでお話ししてきた内容をまとめておきます。

 

・エムスリーの株価上昇の背景には、同社の事業戦略がもたらした参入障壁の高さと希少性があった。

・業界競争が極めて少ないことから、今後も株価上昇が期待出来る。

・一方で、m3.comのサイト内には解決すべき課題が顕在化してきている

 

今回も最後までご覧いただきありがとうございます。

ではまた。

 

 

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