【企業戦略】~#5 リソース・ベースト・ビューとVRIOフレームワーク~

 

どうもいけちゃんです。

 

これまでSWOT分析における外部要因である脅威と機会についてお話ししてきました。

 

今回は、いよいよ企業における強み(Strengths)弱み(Weaknesses)の分析について取り上げたいと思います。

 

本記事をもって、企業が個別具体的な戦略を決定する上で基礎となるフレームワークの解説は一通り終了し、次回からは各戦略について考えていく予定です!

 

今回のポイント

持続的競争優位を確立する上で、企業の強みと弱みを明らかにするための方法を抑える!

 

リソース・ベースト・ビューとは

 

「あなたの強み、また弱みは何ですか?」

 

採用面接等でありがちなこの質問。

典型的でありながらも、適切に回答するのは意外と難しいですよね。

 

下手なことを言えば、面接官の評価を下げてしまうことになりかねません…。

 

この質問を企業に対して投げかけたならば、難易度は一気に跳ね上がることでしょう。

 

高度に複雑化した企業にとって、競争上の真の強みや、決定的な弱点を的確に解明することは一筋縄ではいきません。

 

こうした問題を明らかにするために生まれた考え方がリソース・ベースト・ビューです。

 

その名の通り、各企業が持つ様々な資源を基に企業を観る方法です。

リソース・ベースト・ビューでは、企業の持つ資源を以下の4つに分類しています。

・財務資本

・物的資本

・人的資本

・組織資本

上記4つの要素を合わせて、一般的には「経営資源」と呼びます。

また、別の言い方では「コア・コンピタンス」や「ケイパビリティ」と呼んだりもしますが、どれもほぼ同義と考えて問題ありません。

(*本記事では分かりやすく経営資源で統一します)

 

企業が競合に対して競争優位に立てるか否かは、これら企業内部の経営資源に依拠するというのがリソース・ベースト・ビューの考え方になります。

 

経営資源の特定:バリューチェーン分析

 

リソース・ベースト・ビューの考え方と、経営資源の概要を把握したところで、次に重要なことは、企業が実際にどの経営資源をどれほど有しているのかという点です。

 

この問題については、その企業が製品フローの中での立ち位置によって大きく変わってきます。

例えば、石油製品で言えば、原油を採掘する企業とガソリンスタンドで石油製品を販売する企業とでは明らかに強みとなる経営資源は変わってきます。

 

このように、企業が一連の製品フローの中でどの事業活動を行っているかに着目し、経営資源の分析を試みるのが、バリューチェーン分析なのです。

 

バリューチェーン分析は、業界における企業の競争上のポジションを理解する上で非常に有効であることから、いくつかのモデルが提唱されています。

 

✓マッキンゼーによるモデル

 

✓ポーターによるモデル

 

ちなみに、「バリューチェーン」と言う言葉は、5つの競争要因(Five forces)でおなじみのポーターが提唱した概念です。

ポーターはすごい…!!

 

こうしたバリューチェーンモデルを基に、自社がどの事業分野をカバーしており、どういった経営資源を保有しているのかを明確化することが可能になります。

 

VRIOフレームワークについて

 

リソース・ベースト・ビューの考え方によって、企業がどのような経営資源を有しているのかが明らかになりました。

 

しかしながら、最も肝心なことはそれら経営資源が他社に対して競争優位を確立する上で役に立つか否かという点です。

 

この問題を明らかにする上で有効なのが「VRIOフレームワーク」です。

 

VRIOフレームワークでは、企業の事業活動に関して、以下の4つの点から分析することで、その企業が有する経営資源が強みなのか、或いは弱みなのかを判断することが可能になります。

 

① 経済的価値(Value)に関する問い
② 稀少性(Rarity)に関する問い
③ 模倣困難性(Inimitability)に関する問い
④ 組織(Organization)に関する問い

 

ここからは上記の4つの問いかけに関して簡潔に内容をまとめておきます。

 

経済的価値に関する問い

 

問い:「その企業が有する経営資源は、脅威や機会と言った外部環境に適応可能か否か」

 

多くの企業にとって、この問いに対する回答は「イエス」であるはずです。

 

すなわち、企業が持つあらゆる経営資源は、それらを持っていなかった場合と比較してコストが削減されているか?売り上げが増大しているか?を問うているからです。

 

しかしながら、市場環境や顧客ニーズが変化しているにも関わらず、従来までの設備や組織形態に固執した結果、返って経営資源がコスト増大や売上減少を引き起こしてしまう場合もあります。

 

こうしたケースでは、その原因となっている経営資源は企業にとっての弱みになっていると考えられます。

 

稀少性に関する問い

 

問い:「その経営資源を有しているのは、少数の企業に限定されているか否か」

 

経営資源が経済的価値があったとしても、それがごく一般的なものであったならば、企業が競合他社よりも多くの利益を得るのは難しいでしょう。(完全競争の状態)

 

一方で、その経済的価値のある経営資源が限られた企業しか持ち得なかった場合、これは企業に対して標準以上の利益をもたらす大きな強みになるはずです。

 

模倣困難性に関する問い

 

問い:「その経営資源を有していない競合他社が、それを獲得しようとした場合コスト上の不利に直面するか否か」

 

経済的に価値があり稀少であったとしても、仮に他社にすぐに真似されてしまったり、或いは代替的に模倣されてしまっては強みとは言えません。

 

コスト上の不利とは、獲得に掛かるコスト>獲得によって得られるであろう利潤という状態のことを指しています。

 

5つの競争要因の内の新規参入に対する参入障壁の部分でも触れた「規模に無関係な優位性」で述べた土地や、ノウハウなどは良い例です。

 

こうした模倣困難性の高い経営資源には3つの特徴があります。

(逆に言えば、3つの理由から模倣が困難ということ)

 

企業の歴史的要因

 

競争優位にある企業が持つ、魅力的な経営資源が時間的な要因によって構築されたものであった場合、競合他社が同様の経営資源を得るためには再度歴史を再生させる必要があります。

これを時間圧縮の不経済と呼びます。

 

また歴史の観点から言えば、その経営資源はそれ以前の段階で開発された別の経営資源があってこそ真価を発揮するということもあり得ます。

 

こうした経営資源は一朝一夕に得られるものではなく、模倣は極めて困難と言えます。

 

因果関係的要因

 

これは非常に厄介で、企業の有する経営資源が、その企業の競争優位とどう関係しているのかが不明であるケースです。

 

企業内部の人間にとっては当たり前のことが、実は極めて模倣が難しい価値ある経営資源だったりするのです。

 

こうした経営資源のことを「見えざる資産」と呼んだりもします。

例えば、組織文化や人間関係、関係他社との関係性などが挙げられます。

 

目に見えず、且つ当該企業もその意義を明確に理解していない以上、外部の企業はなおさら分かるはずもなく、故に模倣は困難であると言えます。

 

社会的複雑性

 

これは上記の因果関係的要因に近しいものですが、企業が持つ技術や設備と言った物理的資源と、社内ネットワークや関係会社との関係といった目に見えない社会的資源とが複雑に関係しあっていることを指します。

 

こうした場合、例えいずれか或いは両方を手に入れたとしても、それらの関係性を適切に構築しなければ意味を成さないということになります。

 

組織に関する問い

 

問い:「経済的に価値があり、稀少で且つ模倣が難しい経営資源を最大限活用できる組織構造が整備されているか否か」

 

組織論的なこの問題は、多くの企業が直面する課題であると言えます。

 

どんなに素晴らしい研究開発力を有していたとしても、それが迅速且つ適切に上層部や現場に伝わらなければ、せっかくの経営資源が無用の長物になってしまうでしょう。

 

組織論に関する詳細な話はここでは避けますが、20世紀初め米国企業の多くは中央集権的な職能別組織(製造や販売と言った職能で組織を区切ること)下で、増大する経営資源を十分に活かしきれず、その後分権的事業部制を確立し今に至ったという経緯もあります。

 

経営資源の力をフル活用できる組織が確立されていれば、それは間違いなく企業にとって強みになると考えられます。

 

リソース・ベースト・ビューとVRIOフレームワークの限界

 

リソース・ベースト・ビューやVRIOフレームワークによって、企業の強みと弱みを理解することは、外部要因である脅威を緩和し、機会を十分に活かすことに繋がる点では多いに意義があります。

 

しかしながら、業界を単位としたSCPモデルや5つの競争要因に限界があったように、これまでお話ししたリソース・ベースト・ビューとVRIOフレームワークも完ぺきな理論ではありません。

リソース・ベースト・ビューとVRIOフレームワークに共通して言えることは、どちらも業界ではなく一企業を対象としている点が挙げられます。

 

その点において、例えば外部要因である脅威と機会が短期間で大きく変動した場合、VRIOフレームワーク上では魅力的な経営資源が、実は陳腐化していたなんてこともあり得るでしょう。

昨今のコロナ禍ではこうした事象が起きていても不思議ではありません。

 

また、実際競争優位に立っている企業の多くにおいて、その強みは目に見えなかったり極めて複雑化しているケースがほとんどです。
だからこそ優位に立っているわけですが…

 

それ故に、業界単位でのフレームワークよりもデータの収集が難しくデータ作成が非常に困難であるというのも欠点の一つとして考えられます。

 

企業戦略について学びたい方へ

 

本記事を執筆する上で参考にしている書籍を紹介させて頂きます。

本書では、記事に書ききれなかった多数の事例や、各フレームワークの更なる詳細を読み解くことが出来るため、戦略論に関心がある方は是非とも手に取って頂きたい書籍になっています。

 

 

・Amazon

企業戦略論【上】基本編 競争優位の構築と持続

・楽天

企業戦略論(上(基本編)) 競争優位の構築と持続 [ ジェイ・B.バーニー ]

 

最後に

 

では、ここまでお話ししてきた内容をまとめておきます。

 

・リソース・ベースト・ビューとバリューチェーン分析を基に、企業が有する経営資源を把握することが出来る。

・それらの経営資源をVRIOフレームワークに則って考えることで、それが強みなのか或いは弱みなのかを明確にすることが可能になる。

 

今回も最後までご覧いただきありがとうございます。

 

ではまた。

 

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