どうもいけちゃんです。
本日(2020/3/16)、FRBが1%の超大幅な緊急利下げを発表しました。
前回の0.5%の緊急利下げに引き続き、金融政策を推し進めたことに加えて、量的緩和も実施することを決定しました。
FRBの今回の行動に対してトランプ大統領は
「驚いたが、よくやった!!」
と称賛していますが…興奮しているのは彼だけのようです。
というのも2回の緊急利下げをもってしても株安を抑えることは出来ず、今回に至っては市場の不安感を煽る形となってしまいました…( 一一)
しかし、最も注目すべき点は米国において約4年ぶりに実質0金利が復活し、今後マイナス金利に突入する可能性が高いということです。
米政策金利の急激な低下によって、気になるのは為替ですよね。
今回の記事では、直近の米国金利とドル円の動向を振り返ると共に、なぜ円高になるのか、そしてドル円相場の見通しに関してお話ししていきます。
直近のドル円相場
まずは昨年末、新型コロナウイルスが発生してから現在までのドル円の動きを確認してみましょう。
これは直近3ヵ月間のドル円のチャートです。
注目すべき点は3点あります。
まず1つ目は、米国で初めての感染者が確認された1/17時点です。
(奇遇なことに、この日は日経平均が年初来高値を付けた日でもあります…笑)
ただ、この時点では中国での感染拡大やクルーズ船の問題などに市場の注目度が集まっていたほか、米経済指標も堅調であったことから変動はほとんどありませんでした。
2つ目は、2/16~23の週における急激なドル高の動きです。
一気に112円までドル高が進んでいますが、この時は依然米国経済が堅調であり、且つ中国政府が景気対策を強化するとの期待感から、相場がリスクオンになりました。
3つ目は2/23から3/10までのドルの急落です。
2月末にFRBのパウエル議長が利下げを示唆したことや、中国製造業PMIの急低下、更には米国で初の新型コロナウイルスによる死亡者が出たことで下落トレンドがスタート。
その後世界中で感染が拡大し、投資家心理が悪化する中、FRBが50bpの緊急利下げを発表しました。
この緊急利下げによって、米国経済への打撃が想像以上に大きいのではと投資家心理を一層悪化させたこと。
更には米国単独での利下げによって各国の足並みがそろっていないことを露呈する結果となり、一気に円高に進みました。
しかもこんな時に限ってOPECでの交渉決裂…!これぞ泣きっ面に蜂(T_T)
以上が昨年末からのドル円の大まかな動向です。
直近は米国の景気対策や減税政策への期待感から107円台まで戻してはいますが、トランプ政権が具体的な有効打を出していないことや、米国内での新型コロナウイルスの検査が難航していること、そして今回の1%の利下げを市場が好感していないことを考えると上値は引き続き重いでしょうね…( 一一)
米国の政策金利の動向
次に米国の政策金利の動向をチェックしてみましょう。
こちらは2016年から2020/3/13までのFFレートのチャートです。
3/16日現在、FRBの緊急利下げによって実質0金利にまで低下しています。
チャートを見ると、米国は良好な企業業績や堅調な経済指標が続いたことから、2017年~2019年まで利上げのフェーズに入っていました。
しかしこの間、同じく利上げを継続していたのはカナダのみで、日本はもちろんのこと欧州やオーストラリアは利下げを行っていたのです。
今回の新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、3/3にG7財務相・中銀総裁の電話会合が開催され、その後FRBが先陣を切って緊急利下げを実施しました。
その後、カナダも同じく0.5%の利下げを実施し、いよいよ他国の中銀も緩和策を強化する機運が高まることとなりました。
本来、各国が足並みを揃えて金利低下に乗り出せば金利差が出にくくなるため、為替への影響も少ないはずですよね…
ただ、先述の通り米国だけは直近2,3年利上げをしていたため利下げの余地が他国に比べて大きくなっています。
つまり、同じ利下げでも米国の場合はその下げ幅が大きく、その分米ドルへの売り圧力が大きくなる可能性が高いと言えます。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大以前は利上げをするほど米国景気は良かったわけですから、感染が落ち着くにつれて米ドルは真っ先に買戻しされる可能性が高いと思います。
なぜ円高になるのか
日本だって、新型コロナウイルスの感染が拡大しているのに何で円高になるんだ…?
と思いますよね。
実は今回に限らず、円は慢性的に円高病にかかっているんです…(*_*;
その理由は以下の2つの要因が考えられます。
🔹有事の円買い
🔹日本と米国の経常収支
有事の円買い
皆さんもどこかでこの言葉を聞いたことがあるかもしれません。
よく新聞なんかでよく使われる気がしますが、なんで円を買うんだ?と思った方も多いはずです。
原油価格が下落した時や、他国でテロ事件が起きた時、なぜが円高になりますよね…
当然今回の新型コロナウイルスの感染拡大も有事ということで、案の定円高になっています。
実は有事の円買いの理由は日本の低金利であり、円買いをしているのは海外のヘッジファンド等の投資家なんです。
海外の投資家達はリスク分散や運用の効率化を図るため、自国通貨以外の外貨での運用もしているのですが、その際に一番人気なのが円です。
その人気の理由が低金利です。
円で資金調達をする、つまり円を借り入れるわけですから金利が低い方が良いに決まってますよね。
しかも、日本は金融システムがしっかりしていて、円は流動性があるため資金調達にはうってつけというわけです。
そして借り入れた円を米ドルやユーロに替えて金融商品を買うので、リスクオンの時は円安ドル高になります。
ところが、今回のようなリスクオフの時は全く逆のことが起きます。
今まで買っていた米株や、原油などを売却し外貨を受け取ります。そして、その外貨で円を買って、借りていた円を返済する、いわゆる円の買戻しが起きるのです。
これこそが有事の円買いのカラクリです。
今、コロナショックの影響でまさにこれが起きています。
日本と米国の経常収支
これは今回の新型コロナウイルスの感染拡大とは直接的に関係はありませんが、慢性的な円高要因の一つとして取り上げておきます。
まず、経常収支とは外国との貿易や証券投資による収益等の収入と支出の差のことです。
式で表すと
経常収支=貿易収支+サービス収支+所得収支+経常移転収支(義援金などの資金協力)
になります。
日本はこの経常収支の黒字が続いています。
特に貿易収支や訪日外国人の増加によるサービス収支の黒字が増加傾向にあります。
経常黒字が増加すると企業が輸出等によって受け取る外貨の量も増えます。
しかし、当然企業はその外貨を円に交換する必要があるため、外貨売り円買いを行います。
そのため、経常収支の黒字下では円高の傾向が強くなります。
一方、米国は逆に経常赤字が年々増加傾向にあり、特に貿易赤字が恒常化しています。
米国企業は輸入に必要な外貨を調達するためにドルを売って外貨を買うことになるため、必然的にドル安傾向が強くなります。
つまり、米国が日本に対する経常収支が赤字である状況下では円高になりやすいということです。
結果、両国の経常収支の関係から、円高ドル安になりやすい土壌があるということになります。
お国柄として消費大国の米国と輸出大国の日本との関係では円安になりずらく、120円以上の円安を期待する方もいると思いますが、日米の金利差では難しいでしょうね…
日本国債が暴落するようなことがあれば話は別ですが(*_*;
今後の見通し
ドル円相場にいつ転換点が訪れるのかは新型コロナウイルスの状況次第と言わざるを得ません。
以前アップした【新型コロナウイルスと株価】において検証した、過去発生した新型コロナウイルスであるSARSとMERSの時の経験則からすると、底打ちから終息まであと2ヵ月近くかかる可能性が高いです。

ただ、その際に真っ先に買戻しされるのが米ドルであると思います。
その理由は2つ考えられます。
1つ目は、新型コロナウイルスの感染拡大以前まで経済が堅調であった米国資産に資金が集まりやすいから。
2つ目は、米ドル資産を買うのに調達資金とされている低金利の円が売られるから。
です。
前々から軟調な経済指標が続いていたユーロには資金が向かいにくいことを考慮すると米ドルへの需要が一気に戻る可能性が高いと思います。
最後に
新型コロナウイルスと為替、いかがでしたでしょうか。
為替は様々な要因で変動し、見通しを立てるのが難しい要素です。
しかし、結局は株などと同じく需給関係で上下するため、そのカラクリを理解すればある程度の予想を立てることは出来ます。
米国でも感染が拡大していることから、まだ円高傾向は続きそうですが、米ドルを仕込むには悪くないタイミングだと思います!
ではまた
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