どうもいけちゃんです。
これまで、主要な財務諸表である貸借対照表と損益計算書、及び株主資本等変動計算書について解説してきました。
今回は最後の財務諸表である「キャッシュフロー計算書」についてお話しします。
キャッシュフロー計算書を含めて計4つの財務諸表をマスターすれば、企業の有価証券報告書や決算短信を読み解くことが出来ます!
今回のポイント
キャッシュフロー計算書からは企業の財務体質や事業戦略の変化を読み解くことが出来る。 |
キャッシュフロー計算書とは
キャッシュフロー計算書とは、読んで字のごとく、現金の流れを表した財務諸表のことです。
しかし、現金をどれだけ持っているかはこれまで解説してきた貸借対照表や損益計算書で分かるじゃないか。
と思った方も多いはずです。
ではなぜキャッシュフロー計算書が必要なのでしょうか?
それは、現金の収入と支出を把握するためです。
現在の会計基準は「発生主義会計」に基づいて行われています。
発生主義会計とは、経済価値が増減した時点で収益やコストを計上する方法です。
代表的な例として以前解説した減価償却が挙げられます。

発生主義会計によって、厳格な期間損益が可能になり、株主に対してよりリアルな状況を報告することが出来るというメリットがあります。
一方で、企業間の取引においてはその場で現金の受け取りはなされず、売掛金や買掛金といった所謂、信用取引によって行われています。
(例:他社から部品を売ったら、代金が振り込まれるのは一か月後など)
それ故に、発生主義会計では現金の収入・支出と収益・費用のタイミングや認識にどうしてもズレが生じてしまいます。
そこで、単純に現金の出入りだけを追ったキャッシュフロー計算書によって現金の収支を把握することが出来るというわけです。
キャッシュフロー計算書の内容
キャッシュフロー計算書は6つの要素で構成されています。
注目すべきは上3段のa~cです。
まず、aの営業活動によるCFについては本業での利益のため基本的にはプラスになります。
続いてbの投資活動によるCFは設備投資等になるため支出となり、基本的にはマイナスになります。
最後、財務活動によるCFについては資金調達分はプラスになり、利息や元利金の支払いを行った分はマイナスになるため、ここの部分はまちまちです。
そしてaとbを足した分をフリーキャッシュフロー(FCF)と言います。
FCFは本業等で必要な投資を行った後に残った自由に使えるお金のことです。
多くの場合は借入金の返済や配当に回されます。
逆にFCFがマイナスの場合はどうにかして資金を調達しなければならないということです…。
理想的なキャッシュフローとは
では、a~cについてどのような収支状態が理想的なのでしょうか?
理想形は、
営業CFがプラス、投資CFがマイナス、そして財務CFもマイナス
の企業です。
これは本業でしっかりと利益を出しており、設備投資等も積極的に行っている。一方で、借入金等は少なく、配当や自社株買い等の株主還元によってキャッシュアウトしている。
という状態です。
この理想形以外にもキャッシュフロー計算書のパターンによって企業のタイプを判別することが出来ます。
キャッシュフロー計算書の実例:東芝
キャッシュフロー計算書の概要は以上になります。
では、ここで実際のキャッシュフローの動きをグラフ化したものを見てみましょう。
これは東芝の2005年からのキャッシュフローの動きです。
2008年のリーマンショック時を除けば、2014年まで比較的理想形か、積極投資型に近いタイプになっています。
ところが、2015年から一転して倒産型やリスクテイク型にシフトしています。
ちょうどこのころから、粉飾決算等で東芝が破綻の危機に陥った時期になっています。
キャッシュフロー計算書は企業の経営状況に特に問題が無ければ、そこまで重視する財務諸表ではありません。
しかし、このように各CFのバランスが良い意味でも悪い意味でも大きく変化した時は経営上何か節目を迎えたサインとして捉えることが出来るのです。
財務会計について更に学びたい方へ
今回のキャッシュフロー計算書をもって、主要な財務諸表に関する解説は一通り終わりました。
ただ、このブログで解説した内容はあくまで基礎~中級レベルです。
会計学にはまだまだ世界中で議論され続けている問題がたくさんあります!
財務会計に関して更に深く学びたい方向けにおススメの書籍を載せておきますので、ぜひご参考にして頂ければと思います。
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まとめ
では今回お話しした内容をまとめておきます。

キャッシュフロー計算書のポイント
・キャッシュフロー計算書によって企業ごとの現金の収支を把握することが出来る。
・営業、投資、財務の各キャッシュフローの状況によって企業の経営タイプを判断する材料となる。
・キャッシュフローの動きによって企業の経営状態の変化を察知することが出来る。
今回も最後までご覧いただきありがとうございました!
ではまた。