どうもいけちゃんです。
先日のツイートでお伝えした通り、戦略論に関する記事をシリーズ化します!
夏休みの新たな課題図書を決めました。
面白くて、もう既に【上】の半分読んだのでしっかりと、しかしなる早で読み進めます!
読んで考察した内容はもちろんブログでアウトプットします✏️
戦略論に興味をお持ちの方はぜひお楽しみに! pic.twitter.com/mPbS4bQupw— いけちゃん (@ikechannnnnnnn) July 23, 2020
今月から米国での決算が本格化する中で、昨今のコロナショックに対して上手く対応できたか否かが企業業績を大きく左右しています。
そして今後は、これまでにない「新常態」が次々と生まれていくことでしょう。
こうした状況下で企業に求められるのは、状況に適した新たな戦略であると考えられます。
そこで今回から、Jay B. Barney『企業戦略論』を基に企業における戦略論についてお話しして行こうと思います!(書籍の詳細は記事後半にて)
初回は、戦略の定義と、戦略を決める上で重要なSWOT分析について取り上げます。
今回のポイント
SWOT分析は戦略を決める上で考慮すべき要素を提示する基礎的なフレームワークである! |
戦略とは
ビジネスに限らず、スポーツや或いは受験戦争においても「戦略」という言葉をよく耳にしますが…もし、
問:「戦略」とはなにか説明せよ。
という問題が出されたら皆さんはどう答えるでしょうか?
「相手に勝つための計画」とか「目標を達成するための方法」等々、色々な答えが出てきそうですが、どれも間違いではありません。
過去、多くの研究者らによって「戦略」については様々な定義付けがなされてきました。
例えば、経営史の巨匠であるチャンドラーによれば戦略とは、
「長期的な目線で効率的に経営資源を配分するためのプランニング」とされています。
一方、バーニーによる戦略とは、
戦略:いかに競争に成功するか、ということに関して企業が持つ理論
と定義付けられています。
今後の議論のため、本ブログではバーニーによる定義で統一します。
競争に成功するとは
バーニーが言う戦略の定義の中で、“競争に成功する”とありますが、これはどういう意味なのでしょうか?
結論、それは競争優位を獲得するという意味です。
事業を行う上で、自社の業績が良いか悪いかの判断材料として、往々にして他社との比較が用いられます。
その場合、企業の置かれるポジションは以下の3つに大別されます。
・競争優位
→企業の活動が業界や市場に対して価値を創出しており、且つ同様の行動を行っている競合企業がほとんど存在しない状態。 ・競争均衡 →企業の活動が業界や市場に対して価値を生み出しているものの、同じような行動をしている競合企業が複数存在している状態。 ・競争劣位 →企業の活動が価値を生み出していない状態。 |
競争優位に立つということは、その企業が実践している戦略が市場環境や、業界に適合しており、競合他社がその戦略を思い付いていないか、或いは知っていても真似できない戦略を持っているということになります。
まさに理想的な状態ですよね。
特別な理由がない限りは、多くの企業がこの競争優位の立場の確立を目指すことになります。
つまり、戦略とは、
競争優位の獲得を目指すためのセオリー(理論)
であると言い換えることが出来ます。
SWOT分析とは
さて、企業における戦略については抑えることが出来ました。
では皆さんが経営者だとして、明日から「競争優位の構築のため作戦を練るぞ!」と思っても何の指針も無ければ一向に方向性が定まらないですよね…。
そこで、登場するのがSWOT分析です。
SWOTとは、
- 企業の強み(Strengths)
- 企業の弱み(Weaknesses)
- 企業の市場におけるチャンス(Opportunities)
- 企業の市場における脅威(Threats)
の4要素を指しています。
このように強みと弱みは企業の内部の問題である一方、機会と脅威については外部の問題であると言えます。
競争優位の獲得に成功している理論は、必ずと言っていいほどこの4つの要素に関しての考察が含まれているのです。
SWOT分析の応用と限界
実際にSWOT分析を既存企業に当てはめてみましょう。
ここでは、テスラを例にしたいと思います。
EVメーカーのテスラにおけるSWOTの各要素には以下のようなことが考えられます。
もちろん、上記以外にも多くの要素が存在します。
こうしてSWOT分析をした結果、テスラが採る戦略としては例えば、
✔製品ラインを増やして多種多様なEVを製造する。
✔EV市場の拡大に伴って、交渉力を持ったエンジンメーカーから足元を見られる可能性が高いため、後方統合を推進する。
といった戦略が考えられるでしょう。
(*後方統合や各戦略の詳細についても今後記事をアップします!)
実際のテスラの事業戦略については以下の記事をご覧ください。

このようにSWOT分析は、企業が採るべき戦略の方向性を決める上で非常に重要な指針になります。
企業に対してだけでなく、自己分析に使ってみても面白いでしょう。
今後、就活や転職(筆者のことですが…笑)の際に自分自身をSWOT分析してみることで、意外な発見があるかも知れません!
ただし、もうお気づきの方も多いと思いますが、SWOT分析はあくまで戦略を決める上で考慮すべき要素を提示しているに過ぎません。
ここにこのフレームワークの限界があります。
真に肝心なことは、分析を行った後の個別具体的な戦略になります。
戦略決定における追加的要素
SWOT分析が戦略を決める上で重要な枠割を果たすことが分かりました。
ただ、当然のことながらこの世に存在する数多の企業の多様な戦略が全てSWOT分析だけから導き出されたとは限りません。
企業が戦略を決定する上で無視できない他の要素についてここでは触れておこうと思います。
企業ミッション
企業のミッション、日本語で言うところの経営理念もまた戦略に大きな影響を与える場合があります。
有名な企業ミッションとしてはジョンソンエンドジョンソンの「The Credo(我が信条)」が挙げられます。
なかなかに長い文章なので本記事に全文を載せることは避けますが、ぜひ以下のリンクからご覧ください。(J&Jの社員はきっと全文暗記していることでしょう…)

こうした企業ミッションが実際の企業行動に適用されているような企業を「ビジョナリーカンパニー」と呼んだりします。
ビジョナリーカンパニーにおける戦略決定は以下のフローで行われることになります。
最終的な戦略の策定の際に、SWOT分析を用いることは十分に考えられますが、あくまでスタートは企業のミッションである点が特徴です。
こうしたビジョナリーカンパニーの例として本書では、J&J以外にもIBMやGE、ディズニー、更にはP&Gなど各業界で高い成長率を誇る(或いは誇った)企業が名を連ねています。
無論、素晴らしい企業ミッションを持っていれば必ずしも事業に成功するわけではありません。
しかしながら、企業ミッションもまた戦略における重要な要素であると言えます。
創発的戦略
SWOT分析にせよ、企業ミッションにせよ企業は必ずある意図を持って戦略を決定するはずです。
ところが、考え方の変化や市場の変化によって本来意図した戦略が大きく変容することがあります。それが創発的戦略です。
例えば、かつての米国小売り大手シアーズ(2018年10月に倒産)は20世紀初頭までは、気軽に買い物が出来ない郊外の人々向けのカタログ販売を行っていました。
その後、自動車の誕生によって郊外の人々が都市部への移動が可能になると、カタログ販売から直営店の営業に戦略をシフトさせていきました。
この新たな戦略がその後のシアーズの成長を促すきっかけとなったのです。
おそらくシアーズは当初、直営店を設置するといった戦略は考えてもいなかったはずです。
しかし、時間の経過と共に消費者の行動が変わったことで、商品をカタログではなく実店舗で販売するようになりました。
こうした外部環境の変化や、社内での変化もまた戦略を決定する上では無視できない要素だと考えられます。
企業戦略について学びたい方へ
冒頭の前置きで述べたように本記事の参考図書をご紹介しておきます。
本書では、記事に書ききれなかった多数の事例や、各フレームワークの更なる詳細を読み解くことが出来るため、戦略論に関心がある方は是非とも手に取って頂きたい書籍になっています。
・Amazon
・楽天
企業戦略論(上(基本編)) 競争優位の構築と持続 [ ジェイ・B.バーニー ]
最後に
では、最後にここまでお話ししてきた内容をまとめておきます。

・戦略とは、競争優位の獲得を目指すためのセオリー(理論)である。
・SWOT分析は戦略を決める上での方針を示すフレームワークである。
・SWOT分析以外にも、企業ミッションなど戦略を決定する上で重要な他の要素も考える必要がある。
今回も最後までご覧いただきありがとうございます。
ではまた。